NHKの人気番組、「あさイチ」で2025年、世界中の経済や株式市場を揺るがしているトランプ関税の影響を専門家が解説してくれる特集がありましたので、さらに分かりやすく解説します。
トランプ関税の影響と住宅ローンを固定金利にするか変動金利にするか
銀行の窓口もトランプ氏の動向次第と
トランプ関税の影響について、住宅ローンを固定金利にするか変動金利にするか迷っているという相談がありました。銀行の窓口でもトランプ氏の動きを見ているとの回答があり、人生に関わる大きな買い物であるため、非常に難しい問題です。
住宅ローンが30年ものならトランプ関税の影響は短期的なものにすぎない
家庭の事情によって異なりますが、住宅ローンが30年ものである場合、トランプ氏の任期は4年であるため、どちらかと言えばトランプ関税の影響は短期的なものです。むしろ日本は長いデフレ環境からインフレ環境に移ろうとしている可能性を考慮する必要があります。割高であっても固定金利にした方が良いかもしれません。最終的には個人の判断に委ねられます。
経済アナリストのジョセフ・クラフト氏の解説
トランプ大統領の相互関税政策が日本に与える影響について、経済アナリストのジョセフ・クラフト氏(東京国際大学副学長)に話を聞きました。
関税とは
関税とは、物の値段の安い外国製品から国内の値段の高い製品を守る国内産業保護の役割があります。
アメリカの一律10%の関税+追加関税(相互関税)
アメリカは、世界中の国や地域に一律10%の関税を4月5日に課し、貿易赤字の大きい地域に追加関税を課しました。日本には相互関税として24%をかけるとしています。
関税は輸入品にかかる税金であり、輸入車が支払うもの
関税は輸入品にかかる税金であり、輸入車が支払うもので、製品の代金に対して税関で支払う必要があります。関税はアメリカ政府の財源となります。例えば、日本から100万円の商品を仕入れた場合、関税率が5%であれば105万円で仕入れたことになります。
日本からの輸入商品が高くなり、売れにくくなる可能性
しかし、税率が24%に上がると、124万円で仕入れることになります。日本からの輸入商品が高くなり、売れにくくなる可能性があります。
間接的に日本の物価上昇に影響を与える可能性もある
直接的に日本で物価が値上がりすることはあまりありませんが、間接的に日本の物価上昇に影響を与える可能性があります。
アメリカ国内では金利を上げる(利上げ)ことでインフレリスクを抑えようとする動きが起きるかどうか
まず、アメリカ国内で物価が上昇し、アメリカ国内では金利を上げることでインフレリスクを抑えようとする動きが考えられます。金利を上げることで、お金を借りにくくし、消費や経済活動を低下させ、物価を下げることを狙った政策です。アメリカの中央銀行がこのような政策を行う可能性があります。
円安になると、日本では輸入品の物価が上昇する
アメリカの金利が高くなると、円を売ってドルを買う動きが強まり、円安になる可能性があります。円安になると、日本では輸入品の物価が上昇します。これはアメリカからの輸入品に限らず、他の国からの輸入品にも影響します。
ただし、来週からいきなり物価が上がるわけではありません。長期的に見て、数ヶ月から1年近く経ってから影響が出る可能性があります。今すぐ焦って買い占め、などは控えるべきです。
日本企業の輸出が減り、企業の倒産やリストラの問題が出てくる可能性
仕事への影響はより現実的です。日本企業の輸出が減り、企業の倒産やリストラの問題が出てくる可能性があります。自動車産業をはじめ、食料品、産業機械、部品などへの影響が考えられます。まだ関税対象になっていない医薬品や半導体なども、今後対象になる可能性があります。しかし、これらの影響も徐々に出てくるため、焦る必要はありません。
日本が成長していくのであれば、長期的に今よりも株価は上がっているはず
株式投資を始めたばかりの人や、マンション購入を検討している人、住宅ローンの動向が気になる人も多いでしょう。日本が成長していくのであれば、10年後、20年後は今よりも株価は上がっているはずです。今株価が下がったからといって焦って売却するのはNGです。今が安く買えるチャンスだと考えるのが妥当です。
すぐに住宅ローンの利率が上がる可能性は低い
懸念が高まっていますが、不安定な中で日本銀行がすぐに利上げをする可能性は低いでしょう。そのため、すぐに住宅ローンの利率が上がることはありません。また、株価が下がって富裕層の資産が目減りすると、富裕層の購買意欲が下がり、住宅価格が下がる可能性も考えられます。
トランプ関税はアメリカにも不利益な政策で、長続きしない可能性がある
総理大臣も電話会談を行ったそうです。この政策はアメリカにも不利益であり、長続きしない可能性があります。トランプ大統領の記者会見では、米などの農産物を輸入するという提案によって、日本の国内の米の値段も下げられれば一石二鳥であるため、そのような交渉をする可能性があります。日本にとってはwin-winの交渉ができるチャンスでもあります。