2025年2月3日のNHKあさイチは女性の年金が少ない問題について解説。女性の年金が少ない理由、ねんきん定期便や公的年金シミュレーターを使って自分の将来受け取れる年金額を知る方法と、離婚時の年金分割などについてファイナンシャルプランナー資格者がまとめました。
女性の年金が少ない問題とその背景
2025年2月3日のNHKあさイチ、女性の年金が少ないという話題です。今年度50歳の女性が将来もらえる年金の平均月額は98,000円です。65歳で受け取る場合で、同じ年齢の男性よりも月4万3,000円少ないということです。実質経済成長率がマイナス0.1%の場合です。厚生労働省の令和6年財政検証結果より、国民年金と厚生年金の2階建てでの総額になります。去年初めて公表されました。
参考リンク
将来の公的年金の財政見通し(財政検証)(URL)
年金定期便で将来、自分の年金がいくらもらえるのかが分かる
これじゃ生活していけないのではないか、女性も男性と同じぐらいもらえる方が平等なのではないかとごもっともな声が出ています。そして独身の方や、今後離婚したらどうなるんだろうかと不安を感じている方もいます。また、今結婚していても夫に先立たれたら年金はどうなるんでしょうか。自分の年金がいくらもらえるのかご存知でしょうか。
それがわかるのが年金定期便です。年額で87万円、年間で103万円といった金額が出ているので、月当たりだと12で割らなければいけません。お手元にご用意ください。はがきです。青色の白地に青い文字で書いてあるはがきです。
若い頃はどうせもらえないなんて言っていましたが、実際にはちゃんともらえますからね。実際、リアルにちゃんと考えておきましょう。20代、大学生の時もちゃんと払っておいた方が結構いいことってあるんですよね。今年度50歳の女性が65歳になった時に受け取る見込みの平均額が98,000円、そして男性は14万1,000円です。高齢者世帯の1ヶ月の生活費や14万5,000円と言われています。女性の場合には月5万円ぐらい足りないんですね。家賃だけでも大変ですよね。
公的年金の仕組みは2階建て
まず公的年金の仕組みですが、日本の公的年金は2階建てと言われています。1階部分を国民年金で、20歳以上60歳未満の全ての人が加入します。基礎年金です。2階部分は厚生年金で、会社員や公務員などが加入します。正規雇用や非正規雇用に関わらず企業などに勤める方です。この厚生年金ですが、収入や加入期間によって受け取れる金額が変わってきます。収入が少ない、加入期間が短いとなると、受け取れる金額も少なくなります。
女性の場合、結婚して仕事を辞めたりすると厚生年金の加入期間が短くなる
女性の場合、結婚して仕事を辞めたりするとこの厚生年金の加入期間が短くなったりすることが多いです。
夫の扶養に入っていて厚生年金に加入していなかった
また、夫の扶養に入っていてこの厚生年金に加入していないという方も多いですよね。こういった理由もあって少ないんです。事例:就職氷河期世代の非正規雇用で収入が伸びずに年金額も低いまま
例えば、40代で非正規雇用で働いている方。ご両親が残した家に一人で住んでいて、現在210万円の年収です。節約しながらやりくりしています。子供の頃から使っていた家電製品がまだ使っていたりします。65歳で受け取る年金額の見込み額は10月10万5,000円ぐらいだと出ました。ちょっと衝撃的です。20年以上働いてきましたが、収入が伸びずに年金額も低いままです。
男女間の待遇格差があった
働き始めた時はちょうど就職氷河期だったので、高校卒業して派遣社員で働き始めました。頑張って仕事を続け、5年後には正社員にキャリアアップできましたが、当時はまだ男女間の待遇格差がありました。管理職は女性でもいいけど、やっぱり男性じゃないとと言われたり、昇進も男性の後輩の方が早かったりしました。当時はまだ、男性のサポートをするのが女性の仕事と思われていました。
親の介護のために転職が必要になった
さらに大変なことが起きます。お父さんの持病が悪化して時間の融通がきく仕事に転職したため、収入が減りました。転職する前は残業したりして、夜7時8時に帰ってきたりすると介護がほとんどできません。母親からちょっと仕事を考えて欲しいと言われました。
40代から正社員で転職は難しい
両親が他界して40代で正社員の仕事を探しましたが見つかりません。40代から正社員で探すというのは非常に難しいですよね。そのため、生活費をどうやって切り詰めるかということ、男女の賃金格差、介護、非正規雇用などといった理由でこのように女性の方が年金が少ないということがあります。就職氷河期世代は本当に厳しいですよね。結婚している方も独身の方もこういった声は聞かれます。
予防策:今すぐ年金額の確認と老後の生活費を知ること
ファイナンシャルプランナーの深田あきえさんが解説してくれます。年金や老後資金に詳しいです。まず、これだけはやって欲しいということは、自分の年金額を知ること、そして老後の生活費を知ることです。老後の生活の基本が公的年金ですが、人によって違いますので、まずどれぐらいまかなえるのかを確認してください。年金を知る方法が2つあります。1つは年金定期便のはがきです。もう1つは公的年金シュミレーターというスマホで見れるものです。スマホでQRコードを読み取って確認することができます。
年金定期便のはがきで年金額の確認
真ん中の棒グラフが並んでいるところを見る
毎月、誕生月に皆さんの家に届きます。いろんな数字が書いてあるんですが、重要なのが真ん中の棒グラフが並んでいるところです。ここを確認しましょう。例えば、50歳過ぎた方に関しては50歳から65歳までのグラフが3本並んでいるのではないでしょうか。一番左側が老齢年金の見込み額、真ん中がそれを70歳まで送らせた場合の老齢年金の見込み額、75歳まで送らせた場合の老齢年金の見込み額となっています。これは繰り下げ受給の件ですね。5年遅らせると42%増えます。年金の支給開始年齢を10年遅らせると、最大で84%増えるというものです。
49歳までと50歳以上で表示される金額が変わる
そして、こちらは年額ですので、老齢年金の見込み額が120万円だったら12で割って、月10万円程度の年金額となります。そして49歳以下の方の場合は、これまでの加入実績に応じた年金額、今後の加入状況に応じた年金額などといった記載です。これまでの加入実績に基づいて目安として表示されています。49歳まではかなり少ないのですが、これはそこまでの年齢でストップした場合という風になりますので、50歳を過ぎると年金定期便の金額はぐっと上がりますので焦らないようにしてください。
公的年金シミュレーターの使い方
49歳以下の方も、もうちょっと正確に知りたい方は、年金定期便の右下に二次元コード(QRコード)がありますが、現在の金額を60歳まで払った場合にいくら受け取れるのかというのが比較的近い金額で確認することが可能です。公的年金シミュレーターでは、就職、転職したり仕事を辞めたりといった場合には年金額が増えたり減ったりすることがあります。それをもう少し正確にシミュレーションすることができます。
まず生年月日を入力します。1981年1月1日と想定して入力しています。試算するをタップして下の方にスクロールすると働き方、暮らし方とあります。
自営業、フリーランス、国民年金1号、会社員、公務員、厚生年金、パートアルバイトを国民年金1号、パートアルバイト厚生年金、配偶者の扶養、国民年金第3号、学生、働いていない国民年金第1号と6つ選択肢があります。ここで職業を選びます。例えば20歳から27歳まで会社員として働いて平均年収が300万円だったと想定して入力していきます。その下に期間が入力できます。
27歳で結婚して会社を辞めたので働いていた期間は20歳から27歳までとなります。その間の平均年収で300万円だったとします。だいたいでいいので入力してみてください。後で正確な数字がわかったらそれに入力し直すことも可能です。次に働き方、暮らし方の追加というボタンをタップして再び働き方、暮らし方を選びます。専業主婦になった場合には配偶者の扶養をタップします。これが28歳から59歳までそのまま主婦だと想定します。
ただし、こちらは60歳とは入力できないことには注意してください。そして下の「試算をする」をタップします。画面の上の方に年金見込み受給額を開くという文字がありますので、これをタップするとなんと、こちらの方は65歳から年に94万円受け取れると想定されます。これを12で割ると月に7万8,000円が1ヶ月で受け取れる年金額となります。
これは厳しいですね。23歳まで働いて23歳から転職したり結婚したという場合には、同じ数字を23というふうにはできません。その場合には22歳まで働いていたというふうに入力します。
年金からも税金、社会保険料が引かれるので手取り額は減る
年金からも税金などは引かれます。社会保険料が引かれます。これは年金保険料が給料から天引きされる際に社会保険料控除というものがあって、つまりその分には税金は払ってなかったよということなので、年金を受け取った時にその中からこれらの税金や社会保険料を支払う必要があります。だいたい手取りの金額は85%から90%程度となります。見込み額はあくまで額面表記なので、この点は注意してください。年金額が大きい人は税金も多くなります。10%程度引かれると思っておいてください。なかなか厳しいですね。
老後の生活費を知る重要性
まずは、この自分の年金額を知ることが必要です。次は老後の生活費を知りましょう。総務省が調査した令和5年家計調査報告によると、老後の生活費は無職世帯で65歳以上の単身世帯では月約14.5万円かかっているという調査結果になりました。内訳は食費は4万円、光熱費が1.4万円、娯楽費が1.5万円、交通通信費が1.5万円、住居費が1.3万円、医療費が0.8万円、その他が4万円です。
65歳以上の夫婦のみの世帯では月21万3000円かかっているという調査結果です。内訳は食費が7.3万円、光熱費が2.2万円、娯楽費が2.5万円、交通通信費が3.1万円、住居費が1.7万円、医療費が1.7万円、その他6.6万円です。これは持ち家の方が多いということなんでしょうね。賃貸の人であれば、家賃がかかりますから大幅に住居費がかかってきます。平均の生活費です。また、東京都内だともっと高いですよね。
参考リンク
家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)(URL)
そもそも、年金だけでは暮らせない
そもそも年金だけで老後の生活を賄っていくという考え方は間違っています。ファイナンシャルプランナーの深田さんも「年金だけで暮らせないんですか」と聞かれるそうですが、日本の年金制度はそもそもそれだけで生活できるように設計されていません。その生活を保証するという風にはなっていません。昔は永年雇用で退職金があったので、働いている間に老後資金を貯めたり、退職金を取り崩して行ったりという風に考えられてきました。
老後にこういう時に必要なお金について知っておけば不安は少ない
このファイナンシャルプランナーのところに来てから一気にお金を貯めていくモードに切り替わっていく方が多いそうです。やはりお金の相談、保険の相談などファイナンシャルプランナーの方に聞いていくのがいいと思います。まず、学校やおじいちゃんおばあちゃん、親世代からなかなか教わっていないですよね。でも最近は65歳を過ぎても働いている人も多いです。老後のお金はお化け屋敷と同じでどんなお化けが出てくるかわからないから怖いのであって、老後にこういう時にこういうお金が出てきて、年金だけじゃ足りないということをお化けの状態を知っておけば、それほど怖くないということです。
年金について早めに知っておくことが重要
また、今年金を受給している方からも様々な若い人へのアドバイスがあります。60代でも年金だけでは足りないので今も働かざるを得ません。事前に年金額を把握していなかったので、想定より受給額が低くて困ったということです。もっと早く知っておけば何か備えができたのではないかと後悔している人がいるようです。また、70代の方、若い時は生活していくので精一杯でしたが、少しでも老後のために貯蓄しておけばよかったということです。子供に迷惑をかけないように働けているうちに少しでもと、今70代になってからパートでコツコツと貯蓄をされている方もいるそうです。
老後の税金(住民税)や健康保険料の準備が必要
また、こんなことにお金がかかるということですが、もらい始めたばかりの60代で退職してすぐは、健康保険や住民税など税金が高額になるのでその準備が必要です。59歳の年収が皆さん一番高いんですが、住民税に関しては翌年の6月から1年間にずれていきますので、働いていた時の収入に基づいて翌年の国民健康保険がかかるので、この1年間は高くなってしまいますので、ここは準備が必要です。
離婚後の年金と年金分割制度
そして、離婚した場合は年金がどうなるんでしょうか。40代50代の方は少し不安ですよね。今まで年金の心配をしたことがなかったんですが、夫と別居するようになって、このまま離婚したらどうなるんだろうと不安でした。とにかく全然わからないので不安です。夫の扶養内で働いていたので収入が現在月11万円ほどです。今のままだと国民年金と厚生年金の見込み額で月7万円になります。年額で88万円ぐらいです。
25年前に結婚する時に仕事を辞めて家事や育児を全て行ない、専業主婦になっていました。働きたいと言っていましたが、夫からも家事を優先してほしいと言われました。働いていて家に帰ってきて何かしなければいけないのかと。奥さんが働くことで機嫌が悪くなっちゃうのは嫌だと言われました。結構厳しいですね。そこでフルタイムは断念してパートと扶養の範囲内で働くことにしました。現在、貯金から月5万円ほど切り崩して暮らしていますが、離婚したら働き方を変える方がいいのか、他にできることがあるのか、老後は食べて生きるだけになってしまうのではないかと不安に感じています。
ファイナンシャルプランナーのアドバイス
子供に何かしてもらう必要があるのか、自分で老後の資金を増やす方法はあるのか心配になりました。ファイナンシャルプランナーさんに相談に行きました。ファイナンシャルプランナーの加藤葉子さんはお金の正しい知識と実践的なお話も紹介してくれます。シングルマザーなど年間800人にアドバイスしています。
まずは年金定期便で年金額、生活費、収入などを聞いていきます。これで暮らせるのかというと、将来大変だと考えています。
働いて収入を増やせば、将来の年金額も増える
まずは夫の扶養から外れて働く時間や収入を増やすことを提案されました。今まで扶養に縛られていたので年収130万円を意識していましたが、まずは必要額、どれぐらいあったらいいのかと考えて、毎月5~6万円収入を増やすことを目標にするといいということです。年収200万円を目指せば年金額も月8,600円働くと月8,600円年金額が上がります。
年金分割制度について
そして、全く知らなかった制度が年金分割という制度です。離婚した際に使います。年金分割すると女性にとっては年金が増えます。知らない方もいるかもしれませんが、離婚した場合に使える制度です。今年離婚した場合にこちらの方は夫の年金から月3万円分割してもらいます。月3万円増えたら長い目で見ると結構な金額になりますよね。1年で36万円、10年で360万円です。情報として知っておくと安心です。本当にこういう情報を知っておくだけで全然違いますからね。ちょっと明るい光です。
年金分割制度は中高年の離婚件数が増えて夫婦の年金額の格差が表面化したことでできた制度です。例えば、旦那さんが働いていて奥さんは結婚前に働いていましたが、結婚して妻は退職して第3号被保険者になりましたという場合です。この場合、離婚した場合、年金額が高い方から低い方に婚姻期間中の厚生年金の最大半額を分割できるという制度です。今回の例では夫の年収が530万円ほどなので、婚姻期間は25年で最大で月3万円分割になります。
年金分割の手続きと注意点
ただ、この制度はいつ結婚したかによって手続きが変わります。扶養に入っている人は結婚した人が、この制度が2008年にできたため2008年より前に結婚したか後に結婚したかで手続きは変わります。2008年以降に結婚された方、またそれ以降に結婚された方も2008年以降の部分に関しては、もう手続きをするだけで自動的に分割されます。
しかし、2008年以前に結婚していた分の厚生年金分に関しては離婚した夫の同意や裁判所の調停などが必要です。そしてこの申請は離婚後、原則2年以内に申請する必要があります。また、離婚後5年以内に延長されることが検討されていて、そうなるものと予想されています。
年金分割の実績ではだいたい今まで月3万円程度というのが多いです。年を取ったり、病気の時で本当に働けなくなった時に月3万円は大きいですよね。この点には注意が必要です。夫の年金の半分がもらえるんでしょと思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。結婚している期間の厚生年金部分の半分ということです。
年金分割の適用条件
また、こちらは厚生年金に加入している場合に使える制度で、例えば自営業でご主人が国民年金1号被保険者という場合には使えない制度になってしまいます。自営業の方も奥さんが手伝われている場合って結構あると思うんですけどね。なかなか大変ですよね。年金の制度が複雑なので、年金事務所や街角の年金相談センターなどで質問するようにしてください。
先輩たちからのアドバイス
そして先輩たちからのアドバイスです。最近では皆さん長生きされているので、親が亡くなって遺産相続、実家住まい、墓じまいなども60代、年金生活になってからやるということがあるかもしれません。子育てが終わってから年金を受け取る65歳まで毎月貯金はしていたという方。老後は毎月それを崩して生活しようと考えているという方です。かなり安心感は高いということです。
60代の女性、若い時から年金について知っていればともう後悔しているという方もいます。こういうことこそ中学・高校の授業で教えて欲しいということが多いです。お金のことを知るだけでも本当に安心できるものは多いですので、ファイナンシャルプランナーの方に相談しに行って知っておきましょう。
年金額の差は男女差ではなく、あくまで所得の差
結構多かったのは男女ではなく所得の差で変わってきます。女性でも収入がある人は男性並みにもらえています。また同じ仕事、同じ賃金であれば変わりません。厚生労働省によると、
国民年金のみの方、自営業者への対策
自営業で夫婦とも国民年金で、2人で13万円という方もいます。国民年金のみの方、対策方法を知りたいですよね。国民年金1号被保険者が年金額を増やす方法として、国民年金基金がありますが、今はさらにiDeCoという制度もあります。こういったことで将来の年金を増やすことができます。深田先生もiDeCoをちゃんとやっていらっしゃるそうです。自営業の方は本当にまた大変ですよね。色々対策をしなければいけません。
老後資金の準備と遺族年金、寡婦年金
老後、年金だけで生活できないということを強く認識しましょう。若い時に給料から2万円を天引きで貯める。しかし、ちゃんとしたところにはお金を使って、余計な無駄遣いはしないということを意識していきましょう。夫婦で元気な場合にはいいですが、例えば夫が先に亡くなった場合、遺族年金はどうなるんでしょうか。サラリーマンの夫が亡くなった後、妻はどうなるんでしょうか。知らないという方も多いですよね。寡婦年金というものがあります。